日仏景観会議、伊勢

NEWS : 2009 : 日仏景観-経過報告-

伝統から未来へ - Tradition et Futur

 本会主催 日仏景観会議・伊勢

日本の伝統の原点ともいえる伊勢神宮式年遷宮を前にして、地域の固有の価値がまちづくりに持つ意味を考えるシンポジウム、日仏景観会議「伊勢」が12月20日・21日・23日に開催されました。

開催にあたって

-社団法人全日本建築士会 会長 佐藤 理-

現存世界最古の木造建築法隆寺を始め、1000年以上の歴史を持つ神社仏閣が日本各地に現存し、日本の風土、環境に適した建材の木材を使用してきたこと、また木に神が宿るとする降臨信仰、木材にたいする日本人の心、木を扱う匠の技量の深さが大きく影響しているといえるでしょう。木造建築文化、技術・技能の継承・発展は、当会活動の原点と位置づけられるものでもあります。

昭和33年に設立された当会も、平成20年に50周年を迎え、記念事業として、NPO法人日仏景観会議との共催により、日仏景観会議 - 日光・田母沢 - が開催され、「木造伝統建築文化の継承と発展」をテーマに有意義な会議となりました。

それを引き継ぐ形で、平成21年の日仏景観会議 - 伊勢 - は、「伝統から未来へ」としてNPO法人日仏景観会議との共催、フランス大使館の多大なご協力を得て開催されました。690年持統天皇時代に始められた伊勢神宮の式年遷宮は、1300年にわたり粛々と行われ、平成25年に第62回を予定されており、そのための諸祭、行事が平成17年より始まり、昨年は宇治橋も建替えられました。

日仏景観会議・伊勢のパンフレット
 日仏景観会議・伊勢

世界的に見ても特異なこの行事を4年後にひかえ、伊勢会議では伊勢市長鈴木健一氏のご協力により伊勢市観光文化会館で、「伝統と地域性」の主意に基づき、神宮式年遷宮庁技術総監中村光彦氏の基調報告に続き、明治村館長飯田喜四郎氏、フランスから前パリ・ソルボンヌ大学総長ジャン・ロベール・ピット氏の講演のあと、シンポジウムが行われ、翌日、伊勢神宮と式年遷宮工作所の見学が行われて、1300 年の歴史、伝統の深みを目の当たりにし、その意味を考えさせられることとなりました。

また会場を東京に移し、総合学術センターで行われた東京会議では、伊勢での会議の報告に引き続き「伝統とまちづくり」の主意に基づき、先のピット氏、また早稲田大学教授中川武氏の講演が行われました。その後パネリストと会場参加者を交え討論会も活発に行われ、3 日間の会議は成功裏に終えることができました。

地球温暖化などの自然の影響をダイレクトに受ける建造物、特に木造建築を考えるときに、こののちは、その問題が深刻化していくと思われます。例えば式年遷宮という形態の伝統の保全においても、日本の特異であるとせず、世界中どこでもその土地が唯一の地域性となり、その地域ごとの固有の価値観が在ることをまず認めるべきでしょう。その上で今後その保全・伝統遺産の継承などは、世界レベルでしっかり共有する事が必要となると考えます。

私どもは幸せなことに、新旧の融合をみごとになし、美しい街並みを保持するフランスの例を伺う機会を得たことで、この事を大切にしながら両国の交流が永続し、共に発展しつづけることを強く信じます。

会議経過について

-日仏景観会議伊勢 実行委員長 柳生正雄-

日仏景観会議伊勢(伝統から未来)については、12月20~21日第1部伊勢会議、23日第2部東京会議に、年末のご多忙中にもかかわらずに381名の多数方に参加をいただき成功裡に終了することができました。日仏景観会議開催に御協力いただいた関係団体*1・関係者*2、会員及び会議参加の皆様に謝意を表します。

2008年11月に、社団法人全日本建築士会創立50周年記念事業とし、日光東照宮はじめ関係者皆さんのご協力により、日仏景観会議「日光・田母沢」を「木造伝統建築文化の継承と発展」を主題に開催しました。

第1部を日光東照宮(御祭神徳川家康公400年式年祭(2016年)に向けて平成の大修理現場と特別拝観)と田母沢(旧田母沢御用邸江戸・明治・大正の建築様式復元工事の研修)を日光で、第2部を日仏会館(東京)で、フランスの匠建築代表団の参加を得て、開催し有意義な会議であったと好評を頂きました。

今回多くの会員より「日仏景観会議」の継続開催の要望があり、「日仏景観会議 伊勢」実行委員会を設置し対応しました。日本の伝統建築の原点ともいえる伊勢神宮式年遷宮(2013年)を前にして、伊勢神宮の全面的協力の基に日仏景観会議伊勢を「伝統から未来」を主題に開催しました。

第1部伊勢会議では、「伝統と地域性」について、12月20日伊勢市観光文化会館でシンポジウムを開催。12月21日伊勢神宮の特別参拝・建築造営の山田工作所を見学しました。第2部東京会議では、「伝統とまちづくり」について、12月23日総合学術センターでシンポジウムを開催しました。

なお、今回の日仏景観会議伊勢が建築士会継続能力開発制度「CPD」に認定され、多くの参加者が活用されました。日仏景観会議伊勢の会議経過概要を報告します。

第1部伊勢会議「伝統と地域性」

伊勢市観光文化会館
伊勢市観光文化会館

2009年12月20日13時30分より伊勢市観光文化会館大会議室で第1部 伊勢の伝統と地域性についてシンポジウムを開催しました。

シンポジウムは柳生全日本建築士会副会長の司会で始まり、佐藤全日本建築士会会長・宇田NPO 法人日仏景観会議代表・鈴木健一伊勢市長氏歓迎の挨拶を受けました。つづいて伊勢市役所都市整備部都市計画谷口課長および坂田主幹より「伊勢市の景観に関する取り組み」について報告うけました。

基調報告に移りはじめに中村光彦神宮式年造営庁技術総監より「伊勢神宮について」基調報告をうけました。休憩後(財)明治村館長 伊勢神宮第61回式年造替技監 飯田喜四郎名古屋大学名誉教授より「式年造替について」基調講演を受けました。つづいてジャン・ロベール・ピット前パリ・ソルボンヌ大学総長より「地域の精神の価値」について伊勢におけるピット教授の講演を受け17 時30 分シンポジウムを終了しました。

宿泊場所の伊勢かぐらばリゾート千の杜に場所を移し、18時より(社)全日本建築士会伊橋副会長の司会でレセプションを開催。鈴木健一伊勢市長の挨拶ではじまり、式年遷宮特別講演を中村光彦神宮式年造営庁技術総監より受けのち懇親会に入り交流を深めました。

参加者
 参加者

12月21日宇治橋前に当日参加の愛知県支部会員含め集合、神宮司庁の担当官の案内で11月3日式年遷宮にさきがけ架け替えられた宇治橋を渡り特別拝観、五十鈴川お手洗場を経て御正宮外玉垣内で御正殿を特別参拝し、神楽殿で御祈祷につづき典雅な舞(神楽・舞楽)を特別拝観し内宮参拝を終了しました。

まちづくりが行われたお祓い通り・おかげ横丁を自由見学後、第62回式年遷宮造替山田工作所に移動、所長の宇津野金彦技師の案内で式年造替の各作業場を見学、詳細説明を受け2 時間に及ぶ山田工作場の見学を行い、伊勢会議を終了しました。

第2 部東京会議「伝統とまちづくり」

12月23日(水)9時30分千代田区内の学術総合センター会議室で開催しました。シンポジウムは、柳生全日本建築士会副会長の司会で始まり、佐藤全日本建築士会会長、宇田NPO法人日仏景観会議代表、鈴木健一伊勢市長より挨拶いただいた後、伊勢市役所都市整備部都市計画谷口課長・坂田主幹より「伊勢市全体のまちづくり」について報告をうけました。つづいて中村光彦神宮式年造営庁技術総監より20~21日の伊勢会議の経過と神宮式年造営についての報告を受けました。つづいてジャン・ロベール・ピット前パリ・ソルボンヌ大学総長より「地域の精神の景観」について基調講演を受けました。昼食休憩後早稲田大学教授中川武氏より「伊勢・空間の聖化」世界の聖地と伊勢の建築の意味について基調講演を受けました。

パネルディスカッション

パネリスト
 パネリスト

中村光彦氏の進行で、伊勢の伝統とまちづくりをふまえ「伝統から地域のまちづくりの未来」についてパネルディスカッションに入り、「伝統から未来」に方向づけし終了ました。18 時から如水会館に場所を移して、レセプションを開催、全日本建築士会伊橋副会長の司会で進められ、参加者全員の自己紹介と日仏景観会議などの感想を語り合い、和やかなうちに交流を深め最後に全員で記念写真に納まり、3 日間わたる日仏景観会議伊勢を終了しました。

パネラーは次のとおりです。

  • パリ・ソルボンヌ大学地理学教授 ジャン・ロベール・ピット氏
     (2003-2008 年パリ・ソルボンヌ大学総長)
  • (財)明治村館長、名古屋大学名誉教授 飯田喜四郎氏
  • 早稲田大学創造理工学部建築学科教授 中川武氏
  • NPO法人日仏景観会議代表 宇田英男氏
  • (社)全日本建築士会専務理事・神宮式年造営庁技術総監 中村光彦氏

*1 関係団体
主催 社団法人全日本建築士会 NPO法人日仏景観会議
共催 伊勢市 財団法人日仏会館
後援 国土交通省 文化庁 フランス大使館 三重県 (社)日本建築学会 (社)日本建築家協会 (社)日本建築士連合会 (社)日本建築士事務所協会連合会 (社)建築業協会 (社)全国建設業協会 全国建設労働組合連合 PHP研究所 (株)ファインコラボレート研究所 日刊建設工業新聞

*2 関係者
日仏景観会議 伊勢 実行委員会委員長 柳生正雄(本部副会長) 伊橋和男(本部副会長) 中村光彦(本部専務理事) 宇田英男(本部理事NPO法人日仏景観会議代表) 石井隆(本部理事) 田綿隆文(本部事務局) 富田和男(本部事務局)

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